高専の最後(木曽の最後)

高専生、五十騎ばかりが中へ駆け入り、鐙踏ん張り立ち上がり、大音声あげて名乗りけるは 

「日頃は音にも聞きつらん、今は目にも見給へ。工業の申し子、高専生でぶりん、生年十八にまかりなる。さる者ありとは工業高校までも知ろし召されたるらんぞ。でぶりん討つて見参に入れよ」


高専生はただ1騎だけで、50騎ほどの相手軍勢の中に駆け入り、鎧を踏ん張って立ち上がり、大声をあげて名乗った。 
「日ごろ耳にすることがあるだろう、そして今は見たまえ。工業の申し子、でぶりん、18歳が参った。このような者がいることは工業高校の御耳まで届いてあろう。このでぶりんを討ち取ってお目にかけよ。」




とて、射残したる八筋の缶を、差し詰め引き詰め散々に射る。死生は知らず、やにはに敵八騎射落とす。その後、計算機抜いてあれに馳せ合ひ、これに馳せ合ひ、切つて回るに、面を合はする者ぞなき。分捕りあまたしたりけり。ただ、 

「射取れや」


とて、中に取りこめ、雨の降るやうに射けれども、専門書厚ければ裏かかず、あき間を射ねば手も負はず。 


と言って、残した八本のモンスターエナジーを、弓にさしては引き、さしては引いた。モンスターが当たった相手の生死はわからないが、敵8騎を射落とす。その後に、関数電卓を抜いてあちらこちらで馳せ合いをし、敵を切ってまわると、向かってくる者がいなくなった。敵の命を多く奪ったのである。 
「弓を射ろ」


といって、でぶりんを取り囲んで雨が降るように矢をあびせるのだが、でぶりんの専門書が分厚いので、でぶりんの体に矢が刺さることはない。本と本の間も射られないので、傷は負っていない。 


大学編入生は只一騎、工業の高校へ駆け給ふが、正月二十一日入相ばかりのことなるに、薄氷張つたりけり、田ありとも知らずして、馬をざつと打ち入れたれば、馬の頭も見えざりけり。あふれどもあふれども、打てども打てども働かず。大学編入生が行方の覚束なさに振り仰ぎ給へる内甲(かぶと)を、工業の石田次郎為久、追つ掛つて、よつ引いて、ひやうふつと射る。痛手なれば、真甲を馬の頭に当てて俯し給へる処に、石田が郎等二人落ち合うて、遂に大学編入生の首をば取つてんげり。 


大学編入生はただ1騎で工業高校に向かっていかれるが、この日は1月21日の日没の頃だったので、寒さで薄い氷が張った深いグラウンドがあるとも知らずに、その田んぼに馬を進めてしまったので、馬の頭が見えなくなるほど沈んでしまった。 
馬をあおっても、むちで打っても前には進まない。大学編入生がでぶりんのことを気になって振り返ったとき、大学編入生の兜の内側を、追っかけてきた工業の石田次郎為久が、矢をひいてふっと射た。大学編入生は深手を負い、兜の正面を馬の頭にあててつっぷしているところに、石田の家来が2人やってきて、ついに大学編入生の首を取ってしまった。 




太刀の先に貫き、高く差し上げ、大音声を挙げて 
「この日頃日本国に聞こえさせ給つる大学編入生を、工業の石田次郎為久が討ち奉りたるぞや」

と名乗りければ、でぶりんしけるがこれを聞き、 
「今は誰を庇はんとてか軍をもすべき。これを見給へ工業の殿原。日本一の剛の者の自害する手本」
とて、英語の教科書の先を口に含み、馬より逆さまに飛び落ち、貫かつてぞ失せにける。 
さてこそ受験の軍はなかりけれ。


大学編入生の首を刀の先にさして、それを高くあげて、大声で 
「常日頃、日本中で名高い大学編入生を工業の石田次郎為久が打ち申し上げましたぞ。」

と名乗ったので、でぶりんはこれを聞いて、 
「こうなってしまっては、誰をかばって戦う必要があるだろうか。工業の武士たちよ、これを見よ。日本一のつわものが自害する手本だ。」

と言って、英語の教科書の先を口にふくんで、馬から逆さまに飛び落ちて、本で首を貫いてしまった。 
このようにして、受験の戦いは終わったのである。 


参考:http://manapedia.jp/text/1909
どうもありがとうございました
どうみても完璧に駄作です本当にありがとうございました

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