高専生の夏は、遅い。
私が、コーヒーをあまり好んで淹れることが少なくなった、あのあたりからの話である。
私が住んでいる場所は、寒帯、いや亜寒帯に分類されるのだが.....寒帯といっても差し支えないだろう。
冷たいものが欲しくなってきた頃、日差しを感じて私はひたすらに歩いていた。
前の住居とはまた変わった所に私は住んでいるのだ。散策や、この周辺の感覚を掴んでおこうと思っていたからである。
目的といった目的はなく、道のままに進む。
すこし、風が欲しいぐらいに汗が出てきた所で私は部屋に戻ることに決めた。自販機で、お気に入りのジュースを買い、戻る。
身に冷たさが染み渡る。うちわで風を作り、ふとした涼しさを味わう。なかなかに乙なものだ。
午後三時。
空模様がおかしい。さっきまではあんなに、晴れていたではないか。曇り。
大地が、水玉模様に変わっていき、雨が降ってきたと察しの悪い私はようやく気づく。
風もたいしてないので、窓は開けておく。窓から冷気が流れ込んでくる。
既に涼しく、体温調節をした私は温かい物がのみたくなってくる。あぁ、失敗したか?
窓を閉めても暖房は入らない。
仕方がないので布団に潜り込み、ぬくぬくと。
空気の循環とでも言い訳しておくか。
そういえば七月か.....気候の変化もある物だなと感じて、昔の友人に連絡をとってみた。
暑い、暑い。と言っていた。
それなのに私は布団に入り窓を開ける、矛盾を作っている。
まだ昔の癖が残らない。
去年は、ここらで一息ついて夏休みだったのだが......友人にまた尋ねる。
「君は、夏休みかい?」
歩き疲れて、寝てしまったようだ。
メッセージが届いていることに気がついて、見る。
「僕はもう、夏休みさ。君は?」
私は夏休みを忘れていたのか。テストで忙しくて、そんなもの気にも留めてなかったよ。
行事予定表をみる。そう、私は学生。高専生。
以来、私は一時も夏休みを忘れたことはない。
「夏休みは8/15で終わりだよ。」
僕の夏休みは、8/10から。
高専生の、夏は遅い。
コメント
コメントを投稿